6,わたなべ なおきさん(前編)カウンセラーインタビュー

■■■心理カウンセラーにインタビュー!■■■

心の専門家、お悩みを聴く専門家である「心理カウンセラー」ってどんな人たちなのか!?


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■インタビュー6人目は、
心理カウンセラー【わたなべ なおき】さんです。


3人目に登場した林 真路】さんからご紹介頂きました。
わたなべさんは、インタビュア:窓の内側も学んでいた日本メンタルヘルス協会』の卒業生でもあります。

わたなべさんは、仕事の重圧から1年間休職したことをきっかけに、キャリアカウンセラーになったそうです。

現在は、フリーの心理カウンセラーとして、キャリア支援やお仕事相談はもちろん、メンタルクリニックなど様々な場で【自信と希望を育てる】カウンセリングを提供しています。

柔らかく優しい口調とは裏腹に、わたなべさんのお話は、個人の悩みに留まらず、現代のネット社会という世の中の傾向からも悩みを観察した、現実的でちょっと意外で鋭いものでした。

あまり他では聞くことのできないお話に、いろんな発見があると思います。
悩みがある人も、ない人も、ぜひ読んでほしいと思います。

まずは、わたなべさんの活動をお伺いするところから、お話をお聞きしました。



 ※わたなべ なおきさん(以降:ナベ)
 ※インタビュア窓の内側(以降:窓)


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問題の解決をするっていうよりは、その問題が問題でなくなることをするのが、ある種カウンセリングの仕事だと思ってます。


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窓:キャリアサポートから入ったというお話だったんですけど、得意な分野とか、特徴とかありますか?

ナベ:得意っていう形で言うと、自分の中では【本人の希望と自信を作る】ってところを意識してるので、本人が(悩んでいる中で)「とうしたいか?」っていうところを考えて、その(先に進む)ための材料作りをするというか…土台作りをするっていうところは、アプローチとしては、多いかなとは思います。

窓:その中で、例えば、カウンセリングをしてて思うこととか、感じることとかありますか?

ナベ:やっぱり学生支援が多いので、就職活動というか、やりたいことっていうところを、どう考えていくか?っていう相談は、比較的多いかなとは思います。

Cotreeさんの方でもキャリアカウンセリングプログラムという形で、独自で提供もさせてもらっていて、一応4回コースかな。

ただ…なかなかそこ(やりたいこと)って、すごい難しくて。結局…、やりたいことってやってるんですよ、私の中では。 

嫌なことしかやってこなかったって可能性もあるけど、その時必要としてるからこそ、やってる可能性もあるし…。
嫌なことだったとしても、そこには、その人の大切な価値観があって、それを選んできてる自分かいるっていうのも、一つの事実ではあって…。

それが結果的に良い選択ではなかった、かもしれないけど。その時その時の自分は、すごく、必死に選んでいるはずだし。大切なことを選んでいるはずなので。

でも、それをしっかりと自分の言葉にできてないし、納得感がないからこそ、それを認めにくい…。
自分自身の「こういうことを大切にしていきたい」というところが、いろんなしがらみの中で「言いたくもない」
ってことにも、なったりするので。
そのあたりをしっかりと話しながら、確認していったりとか…
どっちかというと、言葉作りですよね。

その人自身が、
「自分ってこういうものなんだ」
「これが大切なんだ」
っていうところがわかると、希望が出てくるというか。
「こういう自分でいいんだ」
と思ったら、それが希望になるし。

じゃあ、こういう自分だからこそ、
「これから、どういう風になってきたいの?」
「どういうことをやっていきたい?」
「どいうことを大切にして生きたい?」
というところがあると、自信持って進めていくし。

かと言って、なかなか今まで、うまくいかなかったっていう自信のなさがあるんだったら、そこを一緒に小さい成功体験作っていく、だったりとか。
「これでいいんだ!」
って体験を作っていくことだったり…。

窓:自分で言えないってこともあるんですね?自分からは。

ナベ:というよりは、認めたくないじゃないですか。

窓:認めたくないから、言葉にもできないっていうことなんですかね?

ナベ:言葉にできないし、「言葉にしたくもない」じゃないですかね。

例えば、私は1年間会社休んでた時があって。
当時の自分は、めちゃくちゃ仕事量が半端なくて、7つぐらいディレクターやってたり。
上司から怒鳴られ、文句言ったら死ぬ気でやれと言われ…
会社と、会社の仕組みだったり環境だったり、上司に対してイライラしてたわけですわ。
それは、部下を守りたい自分が正義だし、「上司が悪・会社が悪」ていう捉え方、そういう考え方だったけど。

1年間休職して、心理を学んだりとか、いろんな自分と向き合った中で、上司は上司ですごく苦しんでいるっていうところを、私は理解しようとすら、してなかったんですよね。

上司は上司で、またさらに上の方から、「この期間でやれ」とか、きっと私と同じように苦しんでいるはず。
だからこそ、私にそういうふうに言わざるを得なかったはず。
なんだけど、私はそんな視野も持たず、ただ、自分の部下が…そんな疲弊させちゃうからダメだ、難しい、これはできないぞ!っていうのを、論理的に言ったところで、相手(上司)の気持ちなんてわかろうとしてなかった。

そんなことを、当時の自分は認めたくなくないわけですよ。上司は悪だから。
ある種、それで自分を守ってたわけですよね。

私は正義、部下を守るために私は頑張ってる。そんな頑張ってる自分素敵だし、そんな頑張ってる自分を虐げられる会社も上司も(悪)…そのせいで私は身体悪くなっちゃって、鬱になっちゃった…。
っていうストーリーが出来上がってたわけですよね。

でもそこを…私自身カウンセリングを受けて、そこに向き合わされることになって、
「あっ!違う違う!自分を一番いじめてたのは自分自身だ!」
って分かったんですよ。腑に落としちゃったんですよね。

・毎回のごとく、こんなに仕事が大変な状況なのに、早く帰ってしまう。罪悪感いっぱいな自分だったり。
・やらなきゃいけないこといっぱいあるのに、集中もできず、だらだらやってる自分。

とか…。
そんな自分を好きにもなれないし、めちゃくちゃ自分に鞭打ってたわけですよ。
違う違う、上司や会社じゃなくて、悪いの自分自身やん!自分が自分のことをこれだけ痛めつけてて、それはしんどいよ。
でもそれを、自分がやってると思いたくないから、上司たち、環境(会社)だとかが、いじめてるって思いたかった。 

窓:自分のせいだって思いたくないから、悪役を作ってた?

ナベ:私の場合は、ですよ。
でもそれが見えちゃったから、なんか…自分と戦うでもないですけど
「この自分いじめ、どうにかせんとな」
って、私は思ったわけなんですよね。

自分の中ではすごい、カウンセリングを受けた時の衝撃というか。
「こんな自分いるやん!」
っていう。そこがすごい衝撃だったんですよ。自分がわかっちゃったというか。

そうすると、これを放置して、見ないないようにして、
「いやいや、悪いの上司やん」
って言い続けることもできたかもしれないけど。
私の場合、そこに向き合されて、逆にすごいスッキリしちゃったんですよね。

だって、他人…上司とか環境・職場とかはもう変えることもできないし、あえて諦めてもいたから辛かったけど。
自分が自分をいじめてることは、
「自分でどうにかできる…かもな?」
って思ったわけですよ。
だったら、ちょっと頑張ってみようって思った、っていうのはあります。

すごいすっきりしましたね、あの時。
ずっと、すごい悩んでたし、しんどいし…恨みつらみの人生だったんですけど…。

「自分やん!」て(笑)

そこからちょっと自分に優しくしようっていう形になっていった。 

だから、意外と…問題の解決をするっていうよりは、その問題が問題でなくなることをするのが、ある種、カウンセリングの仕事だと思ってます。

問題は何も変わってないんですよ。
ただ、それが問題じゃないっていうことに気づけると…。
私もそうじゃないですか?
鬱にさせられて、「この恨みを晴らすべきか!」っていう気持ちが、「これはもう、自分でどうにかすることなんだな」っていう形になったんで、それを問題に思えなかったんですよね…。

もちろん鬱の状態は続いてるから、状況は何も変わってないけど。
でも、自分の中ですごいスッキリしたし、光が見えたというか。

窓:問題は変わってない!?

ナベ:例えば、結構あるあるですけど。 夫婦とかで、パートナーがムカつくって言って。
1時間・2時間カウンセリングしてると、
「パートナー結構いいやつやん!」
っていうのが見えてくる。

パートナーから、文句をいろいろ言われてたりとか、すごく嫌に見えてたけど…。
でも、その背景だったりとか、何でそうなったか?っていうところが、なんとなく見えてきたら、
「あぁ、こういう風なところがあったら、そう言ってるんだよな 」っていうのが見えてくる。

そうすると、ずーっと「旦那をどうにかしてやろう!」っていうので(カウンセリングを)受けてたのに、「意外と旦那いいやつやん!」って形になって、問題がなくなっちゃった、みたいな。

関係性が変わったわけではないけど、捉え方が変わると、(相手の)見え方が変わってくるので。
そういうパターン、意外とありますね、夫婦パターンだと。


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言葉にして話すことによって、問題だと思っていたことが、問題ではなかったと気づく。
言葉にもしたくないと思っていることに、本人ですら気づいていないこともある。
言葉にして話していくと、そんな心の奥にある本音が出てくる。

そして、

■自分のことなら、どうにかできるかもな?

■相手をどうにかしようと思っていたけど、けっこういい人だった!

視点を変え、見えなかったことが見えると、捉え方が変わる。捉え方が変わると、気持ちが変わる。

言葉に出して話してみることで、見えてくる、ということなんですね。



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ナベ:やりたいこと探しにも繋がるけど、結局、自分で自分のことを説明できないんですよね。
自分を表す言葉だったりとか。

やっぱり、言葉の力ってすごくて、
「自分ってこういう人なんだ」
っていうのを…自分のことを自分で説明する言葉が手に入ると、すごく楽になるし、自信になるんですよね。

窓:自分を表す言葉、自分で自分のことを「私はこんな人間ですよ」ってことが言えること、説明できること?

ナベ:それってすごい大きい力で。
結局それ(自分を説明)ができると…自分がわかるんですよ。

何かやった時に 、
「ほら、私こういうの大切にしてるからこうやってるやん」
っていうのが、
「よくわかんない自分が、勝手にやってるよ」
じゃなくって、
「自分、こういうの好きだからやってるよ」
だったりとか。
選択してる自分が「これでいい」って思えるんですよね。

特にやっぱり、いわゆる発達障害の方とか、凸凹があったり、HSPとかって言われてる方だったりとか。
そういった方たちっていうのは、自分の特徴っていうのは、なんとなくわかってる。
でもそれも大概は、こういう特徴あるよねって、サイトだったりとか、どっかに書いてある情報だったりするから。
意外と多分、腑に落ちてないんですよ、書いてあることを読んでても。だから悩み続ける。

ただ読んだ、読んで頭の中でできた、だけじゃなくて、実際に自分の言葉として、カウンセリングで言葉に発してもらって、
「そうなんですね。今こういうこと話しましたよね?それで合ってますか?」
みたいな形で言うと、
「確かに…」
と思う人もいるし。
問いかけたら、
「いや、なんか今ちょっと違和感ありました。」
そしたら、
「違和感あったんですね?どうしてですかね?」
って形でやると、どんどん(自分の)言葉が作れてくるわけじゃないですか。

他人から借りた言葉だけじゃなくって、その言葉を自分で発すると、自分で本当にそう思うってところまで納得できたり、「私 やっぱりこうなんだ」って腑に落ちたりする。

窓:とにかく自分のことを…悩みだろうが、何でもいいから、自分のことを話す。
自分のことを誰かに、人を目の前にして説明するとか、話をするってことが結構大事?

ナベ:しかもそれをブラッシュアップしていくわけですよ。だって、変わってくもん。10代の自分、20代の自分、30代の自分…それはもう変わっていくので。

やりたいこととかって言っても、やりたいことが「ずっと変わらない」って思う必要もないし。
自分の大切な価値観が変わらないと思う必要もないし。
常に変わるし、環境や状況でも変わるし。
変わらない自分がいるっていうこと自体も、自分を苦しめちゃう。

「今は、そう感じてる」って事が事実、【今の事実】なので。その事実を、本人が今、どう捉えているのか? だったりとか…
じゃあ、そう思ってる自分がいる中で、これからどうしたいのか?どう生きていきたいのか?っていうのを、選択すればいいんですよね。 

過去を、「今、こういう風に捉えてると感じている」とか。
今まで生きてきた中で、「どうしてその時そう思ってたか?」っていうところとかも、色々つなげていくと、意外と自分の特徴だったりとか、自分が大切にしてる価値観だったりっていうのが、見えてきたりする。
「私はこういう風に、自分のこと選んできてるんだ」 
っていうのが、自分の中でも納得感があったりとか。それで結構すっきりするというか。

過去は、なんかすごく嫌な思い出だった、こういう自分がすごく嫌いだった、というところからスタートしてるけど、話してて、
「〇〇さんって、こういうこと大切にするんだね」
とか、
「こうなんだね」 
っていう、自分の言葉で色々話してもらいながら確認していって。やってったら、
「あ!じゃあ、あの時もそういう風に考えてたんだ。あー、確かにあの時もこういうことやってましたね。」
ってわかる。
その時は「嫌だった自分」だったけど、
「そういう風に、自分はそうしたかったから、そうしたんだ。」
っていうのが腑に落ちると、その時の嫌な思い出が、違う思い出になりますよね。

本当にその時その時、その人自身は、その時の最良の選択をしてるはずなので。
その時はその時で、
「こういうことを大切にしていきたい」
だったりとか、
「こうするといいな」
って思いで選んではいるはずなので。



************〜つづく



その時の自分は、その時で精一杯考えて選んでいる。【過去、それを選んだ】自分を責めるのではなくて、自分の言葉で自分のことを話すことによって、

 ●その時の自分は、何を大切にしていたのか?を、知ること。

そして、

 ●自分は、そういう想いで選んでいたんだ

過去の自分の考えや想いを、今の自分として受け止めること。

自分の姿が鏡でしか見えないように、自分の考えや想いをよーく見てみる手段として、【自分のことを話す】ことが大切なんですね。

お話はまだまだ続きます。

インタビュー後編もお楽しみに☆


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インタビュア「窓の内側」の人、心理カウンセラー美樹teaの『お茶うけ心理学note』もあります!